冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「でも……わたしは将来、羽澄家の後継者になることが決まってて――」
「僕の家と柚禾の家が組むなら、柚禾が桔梗家の人間になることを柚禾のおじいさんは許してくれるはずだから」
たしかに、還琉くんの家柄を考えれば相手としては申し分ないはず。
おじいちゃんも反対しないかもしれない。
「柚禾の気持ち次第で僕はなんだってする。たとえ誰かに反対されようとも、僕の柚禾への想いは変わらない」
「っ……」
「だから僕を選んで……柚禾」
わたしのことも、家のこともぜんぶ還琉くんなりに考えて伝えてくれた想い。
還琉くんが本気なんだってすごく伝わる。
でも……。
「還琉くんのことは、好き……だよ」
「じゃあ、僕と一緒にロンドンに来てくれる?」
「そ、それは……できない」
「どうして? 僕のことが好きなら――」