冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「会いたいよ……埜夜くん……」
ベッドのそばの窓を見ながら、そんなことをつぶやくと。
窓に一瞬、黒い人影のようなものが映ったように見えた。
えっ、今のなに?
めちゃくちゃ怪しい気がする。
何かあったら怖いし、加賀美くん呼ぼうかな。
ベッドから起き上がった瞬間、窓をコンコンと叩くような音がした。
「え、なっ……えっ」
そこにいるはずのない人が映ってびっくり。
「や、やよく――」
「……しっ。声出すと周りに気づかれるから」
窓を開けると、そこにいたのは埜夜くんだった。
「な、なんでここに」
トレード期間中は、学園のルールで学園外でお嬢様と執事がもともとのペアで会うことは禁止されてる。
ルールを破ったことが学園にバレたら、罰則を受けることになる。
「爽斗から連絡あった」