冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
少しの間、触れたまま……しばらくして離れるのを惜しむように唇がゆっくり外れた。
でも、お互いの距離は近くて目線は絡んだまま。
「いい加減……こんな嫉妬でいっぱいになってんのに」
いつもの埜夜くんと違って、少し余裕がなさそう。
言いたいことを堪えてるようにも見える。
「俺だけ見てたらいいんだよ」
甘くて危険で……溺れるのなんかほんと一瞬。
埜夜くんの甘さにはぜったいかなわない。
「ゆずは俺のなんだから」
今度は唇じゃなくて、頬に触れるくらいのキスが落ちてきた。
たぶん、わざと唇から外すようにキスした。
こんな近くで埜夜くんを感じるのが久しぶりで、心臓がうるさいくらい鳴ってる。
「埜夜くんのことしか見えてない……のに」
「っ……、あーもう……」
「……?」