冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「だから煽りすぎ」
気づいたら、埜夜くんの頬にそっと触れてた。
じっと見つめ合って数秒。
「……もう知らない。散々煽ったゆずが悪い」
頬に触れてた手をつかまれて、そのままキスが落ちてきた。
今度は唇に、しっかり感触を残すようなキス。
触れるだけじゃ物足りないって、すごく求めてくる。
「ゆずは俺にどうされたい?」
「え……?」
「めちゃくちゃにしてほしい?」
「えぇっ……」
そんなこと言ってまた甘くて深いキスばかり。
次第に頭に酸素がうまく回らなくなってくる。
でも埜夜くんは全然手加減してくれない。
ずっとキスで塞がれたまま、苦しくて思わず埜夜くんの手をギュッとつかむと。
「そんなことしてさ……俺のことどうしたいわけ」
「んんっ……ちょっと、まって……」
「……今は聞いてあげない。ゆずがもっと俺を満足させて」
このはっきりしない関係のままはよくないってわかってる。
このまま好きって伝えちゃいけないかな……。
想いがぜんぶあふれてきそう。
やっぱり埜夜くんだから触れたいと思うし、会えなくて寂しいなって思うの。
離れてから、より一層……埜夜くんへの気持ちが強くなった気がする。
埜夜くんには、ずっとわたしのそばにいてほしい。
もしわたしが好きって言ったら、埜夜くんは困るかな……?