冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「ゆずが俺と全然目合わさないから」
リボンを結ぶだけなのに、距離が近くて。
お互いの身体がピタッと密着してるの耐えられない……っ!
「も、もう無理……! やっぱり自分でやる!」
ジタバタ抵抗しても、もっとギュッて抱きしめられるだけ。
「……おとなしくして」
「なっ、ぅ……、だから近いってば……!」
普段は執事モードで敬語なのに、ふたりのときだとグイグイ迫ってくる。
「ゆずだからこんな触れたいのに?」
「す、栖雲さんずるい――」
「そうじゃなくてさ……他に呼び方あるでしょ」
「他って。栖雲さんは栖雲さんで……」
「埜夜。呼ばないと離さない」
栖雲さんの人差し指が、軽くわたしの唇に触れた。