冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
わたしばかりが埜夜くんでいっぱいで、余裕もない。胸がぎゅうってつぶれそう。
「ゆず……聞かせて」
こんな迫られたら、平常心でいるほうが無理なのに。
「……かった」
「ん?」
「埜夜くんがいなくて寂しかった……っ」
今日はなんだか、自分の気持ちに素直になれる気がする。
離れてみて、あらためて気づいたの。
わたしには埜夜くんが必要なんだって。
「埜夜くんは、答えてくれないの? わたしだけに言わせるのずるいよ」
「寂しがってるゆずも可愛いね」
「はぐらかした」
「だってゆずがそうやって甘えるのは俺だけでしょ?」
「う……ん」
「んじゃ、それは俺だけが独占できるゆずの可愛さじゃん」
「埜夜くんの可愛いの基準わかんない……」
「俺はゆずにしか言わないけど」
「ほ、ほんと……?」