冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
わたしはその様子を少し離れた場所で見てるだけ。
少し前におじいちゃんに言われた。
正式に後継者のことが発表されたら、関係者への挨拶はもちろん、会食やパーティーに呼ばれることもあるって。
今からこういう場所で少しずつ経験を積むことも大切なんだ。
「柚禾」
「え、還琉くん?」
いつもの雰囲気より大人っぽくて、スーツに身を包んでる。
還琉くんも来てたんだ。
「遊園地ぶりだね、会えてうれしいな。柚禾のおじいさんが主催のパーティーだから、もしかしたら柚禾も参加してるかと思って」
「おじいちゃんに呼ばれて……」
「そっか。僕も招待してもらったんだ。今さっき柚禾のおじいさんにも挨拶してきたよ」
「そ、そうなんだね」
まだ……還琉くんへ返事をしてない。