冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「たとえすべてを敵に回しても――俺には柚禾さえいればそれでいい」
迷いもなくはっきり言ってくれた。
上辺だけじゃない……本当にそう思ってくれてるのがすごく伝わる。
「あら~? 羽澄さんに栖雲くんじゃなーい! やっぱり今日参加してたのね」
「えっ、理事長さんがどうしてここに?」
なんてタイミング。
「決まってるじゃない! あなたのおじい様に招待してもらったのよ。わたしの実家が羽澄さんの会社と取引がある関係でね」
「あっ、そうだったんですね」
理事長さんが還琉くんに気づいた。
「あれ、あなたたしか……少し前、羽澄さんに会いに来てたわよね?」
はっ、そういえば還琉くんが帰国してわたしに会いに来た日、理事長さんも偶然その場に居合わせたんだっけ。
「柚禾の学園で一度お会いしましたね」