冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「ななっ……い、いきなりは呼べない……!」
わたしが慌てて距離を取ろうとしたら、グイッと一気に顔を近づけてきて。
あとちょっとで唇が触れそうなくらいの距離で……。
「ね、ゆず……呼んで」
だからぁ、そのおねがいの仕方ずるい……!
「や、よ……くん」
「……まあ、いつか埜夜って呼ばせるから、今はそれでいいか」
「えぇ……」
一度スイッチが入ると、埜夜くんの暴走は止まらない。
* * *
お屋敷から学園までは車で送迎してもらえる。
埜夜くんも一緒……なんだけど。
「埜夜くんは学校に行くときも執事服なの?」
「俺はゆず専属の執事だし」
わたしが通う英華学園は、普通科、芸能科、特進科の三コースに分かれている。
「ゆずは特進科のコースで入学の手続きが取られてるから」