冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
埜夜くんも還琉くんも……どちらもわたしにとっては大切で。
「相手を傷つけたくない気持ちがあるかもしれないけれど……。中途半端な状態のほうが、もっと相手を傷つけることだってあるのよ。ここであなたの気持ちをはっきりさせなさい」
理事長さんの言う通りだ。
埜夜くんを好きな気持ちは変わらないんだから。
「あ、ありがとうございます。自分の幸せをきちんと考えて、自分の気持ちに正直になろうと思います」
「そうね。それが大切よ。あとは、正解になる場所を決めないとね。あなたにとっていちばん思い出に残ってる場所はどこかしら?」
「わたしにとって思い出の場所……あっ」
「思いついた?」
「は、はい」