冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「よし、それじゃあわたしたちもそこに向かいましょう! そこに現れたほうが勝者ってことで」
* * *
理事長さんと車でとある場所へ向かった。
「ここがあなたにとっての思い出の場所?」
「そうです」
たくさん思い出はあるけど、その中でも特に思い出深い場所。
「昔、両親と一緒に住んでいた家がここにあったんです」
今は更地になってしまって、跡形もなくなってしまっているけど。
「両親が亡くなってから、この家は取り壊されてしまって。わたしは祖母の家に引き取られて、ずっとそこで暮らしてました」
今でもこの景色を見るだけで、お父さんとお母さんのことを思い出すくらい……わたしにとっては大切な場所。