冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情


ひとり残ったわたしは、ここで待つだけ。


思い返してみれば、両親が亡くなったとき……何が起きたのか頭が真っ白だった。


大切な存在を一気に亡くして、心に穴が空いたみたいで……前向きな気持ちになるのに時間がかかった。



悲しくて寂しくて苦しくて……この感情からずっと抜け出せずにいた。


そんなわたしを引き取ることを、おばあちゃんは快く了承してくれた。


おばあちゃんは、とにかく優しくて明るくてあたたかい人柄だった。


いつも太陽みたいに笑っていて、わたしに寂しい思いをさせないように、愛情いっぱいに接してくれた。


そんなおばあちゃんが亡くなったとき、もうわたしのそばにいてくれる人は誰もいないんだって思った。



ひとりで強く生きていかなきゃいけない……そう思ったけど、それは違った。


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