冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
ひとりで泣くと、心がどんどん弱くなっていく。
強く生きなきゃいけないのに。
瞳からこぼれそうな涙を手で拭うと、家のインターホンが鳴った。
出る気になれないから居留守を使おう……。
しばらくしたら諦めてくれると思ったけど。
「うーん……しつこい……」
鳴りやむどころか、ずっと鳴ってる。
「もう……こんなときに誰」
重たい身体を起こして玄関へ……扉を開けてびっくりした。
「え、どちら様ですか」
開ける前に確認すればよかった。見るからに怪しそうな黒服を着た男の人たち三人が立っている。
だ、誰この人たち。
「羽澄柚禾様ですね」
「は、はぁ……そうですけど」