冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
埜夜くんとまさかのお別れ?
冬休みが明けた一月。
おじいちゃんがお屋敷に帰ってきた。
わたしの様子を見に来てくれたらしい。
おじいちゃんの書斎にわたしと埜夜くんが呼ばれた。
少しずつだけど、前よりおじいちゃんと話せるようになった気がする。
「柚禾もあと数ヶ月でこの家に来て一年だな。今の生活にも慣れてきたか?」
「うん。でも、まだ慣れないことも多いかな」
「そうか。まあ、少しずつ慣れていくといい。これからも期待してるからな」
話はこれで終わり……かと思いきや。
「柚禾は席を外して、埜夜はここに残りなさい」
え、わたしだけ?
しかもなんで埜夜くんが残るの?
「埜夜にはこれからのことで大事な話がある」
大事な話……?
これは気になる……。
「柚禾。席を外しなさい」
「……は、はい」
わたしだけ書斎を出た。
おじいちゃんと埜夜くんって、そもそもどういう関係なんだろう?
前からずっと気になっていたこと。
盗み聞きとかよくないけど、どうしても気になる。
扉に耳を当てて、中の会話を拾おうとしたけど扉が分厚くてあまり聞こえない。