冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「……埜夜。覚悟はできたんだな」
「はい。以前から決めていたことですので」
次の瞬間、衝撃的なことが聞こえた。
「では一週間後、お前にはブラジルに行ってもらう」
今、おじいちゃんなんて……?
埜夜くんがブラジルに行くって聞こえた気がするけど。
まさかそんなこと……。
「さすがにお前ひとりでは不安だろうから、わたしの秘書も同行させることにした」
「……ありがとうございます」
「柚禾の世話はしばらく屋敷の使用人に任せるといい。お前は向こうでの生活のことを考えて、しっかり勉強してくることだ」
「はい」
「柚禾には伝えるのか?」
「不安にさせたくないので、はっきりしたことは伝えないほうがいいかと」
「そうか。では、わたしも黙っておくことにしよう」
何それ……。
なんでわたしには何も教えてくれないの。
それに、ずっとわたしのそばにいてくれるって約束は……?