冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
そしてその日の夜、埜夜くんから告げられた。
「しばらくゆずのそばを離れることになる」
「な、なんで?」
「俺がいない間は、屋敷にいるメイドの人たちがゆずの世話をしてくれるから」
「どうして離れるのか理由を教えて」
「…………」
「言えないってことは、もしかしてわたしのおじいちゃんが絡んでるの?」
おじいちゃんと埜夜くんの間で、いったい何があるの?
それに、なんで理由を話せないの?
埜夜くんは黙り込んだまま。
前より埜夜くんと近づけたと思ったのに……隠し事されてるみたいで悲しくなる。
それに、しばらく離れちゃうのに埜夜くんあっさりしすぎじゃない?
寂しいと思ってるのはわたしだけなの……?
「もういいよ。埜夜くんなんかどっか行っちゃえ……っ!」
思ってもないこと言っちゃった。