冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
強がってるわたしも悪いけど、今回ばかりは理由を教えてくれない埜夜くんだって悪い。
それから数日、ずっと埜夜くんを避けるようになった。
「ゆず――」
「い、今はひとりにして……っ」
学園でもお屋敷でも、埜夜くんを見るとつらくなるの。
もうすぐわたしのそばを離れちゃうなんて信じたくないし、そんなのやだよ……っ。
* * *
そしてあっという間に一週間が過ぎた。
予定だと今日、埜夜くんは日本を離れる。
結局、しっかり話ができないまま。
出国の準備で忙しいのか、今朝起こしに来てくれたのはメイドさんだった。
それに、授業もお休みしている。
朝のホームルームの今も、頭の中は埜夜くんでいっぱい。
飛行機の時間って何時なんだろう?
たしか夕方だって言ってた気がする。