冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
それから今日の授業は集中できなくて、ずっと上の空状態。
埜夜くんに連絡しようとして、メッセージの文字を打っては消しての繰り返し。
そしてあっという間に放課後になっていた。
何も伝えられないまま、強がって意地張って……ほんとにそれでいいの?
もう二度と会えないかもしれないのに。
だったら、後悔する前に今のわたしの気持ちぜんぶ伝えたい。
急いで埜夜くんに連絡したけど、つながらない。
もう空港に向かっていて、出国の手続きをしてるかもしれない。
どうしよう、誰か飛行機の時間を知ってる人――そうだ、加賀美くんなら。
「加賀美くん……!」
「今日の十七時の飛行機だよ」
「え……っ、あ……」
「ふたりともほんと世話が焼けるね」
「ありがとう! 今から行ってくる!」