冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「埜夜くん、待って!」
「なんでゆずがここに?」
勢いのまま埜夜くんの胸に飛び込んだ。
埜夜くんはびっくりして戸惑いながらも、ちゃんとわたしを受け止めてくれた。
「ゆ、ゆずどうした――」
「少しだけ、わたしの話を聞いて……っ」
今のわたしから、埜夜くんがいなくなるなんて想像もできない。
わたしにとって埜夜くんは大切で失いたくない存在。
それをきちんと言葉にしなきゃ。
「埜夜くんさえいてくれたら、何もいらない。そう思えるくらい、わたしは埜夜くんでいっぱいで」
今までずっと、今の関係が壊れるのが怖くて自分の気持ちを伝えずにいた。
でも、そんなのぜんぶ言い訳で、好きなら好きってはっきり言えばよかったんだ。
立場とか関係性とか……ぜんぶ抜きにして、埜夜くんを好きな気持ちは変わらないんだから。