冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
まだ話したいことも、聞きたいこともたくさんあるのに。
「眠い?」
「ん……、ねむく……ない」
埜夜くんの腕の中にいると、安心しちゃう。
眠気が強くなってきた。
「無理しないで。明日たくさん話そう」
「……もう、どこにも行っちゃダメ……だよ」
「うん。ずっとゆずのそばにいる。だから今日はおやすみ」
「ん……」
おでこにチュッと甘いキスが落ちてきて、その日は眠りについた。
* * *
――翌朝。
ハッと目が覚めた。
昨日埜夜くんが帰ってきたのに、寝てしまったから。
すぐ起きて、周りを見渡しても埜夜くんの姿はない。
昨日のこと、まさか夢じゃないよね。
慌てて部屋を飛び出して、お屋敷中を探したけど見つからない。
せっかく会えたのに……また離れることになるの?
「柚禾お嬢様、どうされました?」