冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「全然帰ってこない」
ベッドに倒れ込んで、ボーッと天井を見上げる。
気を紛らわそうとしても、全然効果ないし。
ギュッと目をつぶった。
いっそのこと、このまま寝ちゃって目が覚めたら埜夜くんがいたらいいのに。
そんなこと考えていたら、意識がだんだん遠くなってきて。
ふわっと眠りに落ちてしまった。
次に目を覚ましたとき、びっくりな光景が飛び込んできた。
うっすら目を開けると、ぼんやり誰かの顔が間近にあって、数回まばたきを繰り返す。
「起きた?」
「…………」
「ゆーず」
「……っ⁉︎」
声を聞いて、顔がはっきり見えて、眠気がぜんぶ吹き飛んだ。
「やよ、くん? ほ、本物?」
「ゆず寝ぼけてる?」
「だって、昨日の夜に帰ってきて安心したのに、朝起きたらいないし」
「ゆずに俺の気持ちを伝えたかったから」