冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情


「ゆずは覚えてないかもしれないけど……小学校に入る前、ここで俺とゆずは何回か会ってるんだよ」


そんなに前から?

見覚えのある景色と建物で、何度かここに来たことを思い出
したけど……。



「あっ、もしかして……いつもひとりでいたあの男の子?」


ここの教会は出入りが自由で、その当時わたしと同い年くらいの子が何人か集まっていた。


その中で、みんなの輪に入らずにひとりで本ばかり読んでる男の子がいた。


「そうだよ。俺はここではじめてゆずと出会ったんだ」


顔はぼんやりしか覚えてないけど、たしかにどことなく今の埜夜くんの面影あるかも。


でも、どうして今までずっとそれを言わなかったんだろう?



「小さい頃の俺は、家柄のこととかあって周りと馴染めずにひとりでいることが多かったから。性格もちょっとひねくれてたし」



「そ、そうかな」


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