冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情


「人見知りで、ひとりに慣れてるのもあったから。そんな俺をみんなの輪に入れてくれたのはゆずだった」


埜夜くんは昔を思い出すように、優しい顔で笑っていた。



「ずっとひとりでいた俺を連れ出してくれたのはゆずだった。ゆずからしたら些細なことかもしれないけど、そのときの俺にとってゆずの存在はまぶしかった」


そして、今まで聞いたことなかった埜夜くんの家のことも話してくれた。


「俺の家も、ゆずの家と似た感じで結構名の知れた家柄なんだ」

「え、そうなの?」


「だから、将来は自分の会社を継ぐ予定だった。そのために幼い頃から勉強ばかりして、気づいたらひとりの殻に閉じこもって、周りとうまく馴染めなくなってた」


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