冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「じゃあ、どうしてわたしの執事に……?」
家柄も立派で、将来も約束されていたはずなのに。
執事として埜夜くんと出会ったときから思ってたの。
どうして、わたしにここまでしてくれるのかって。
「柚禾のそばにいたかったから」
「え……?」
「ゆずはひとりでいた俺を連れ出してくれた。だから、今度は俺がゆずのそばにいたいと思ったんだ」
わたしの両親が亡くなったことを埜夜くんが知ったのは、何年もあとだったらしい。
そして、わたしのおばあちゃんが亡くなったことも知り、ひとりになったわたしのために、執事としてそばにいることを決めたそう。
「もちろん、ぜんぶが簡単には進まなかった。実際、ゆずのそばにいるためにすごく時間がかかった。会社を継ぐ気はないって両親を説得して、ゆずのおじいさんにも、家柄をぜんぶ捨ててゆずのそばにいる覚悟があるってことも伝えたし、何度もお願いした」