冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情

「や、埜夜くんってば……っ」

「……ん？」


埜夜くんはずるいの。

わたしを見る瞳も、触れてくる手もぜんぶ甘いから。


「この角度のゆずもたまんないね」


わたしの顎にそっと指を添えて、顔がグッと近くなった。


これキスするのかな。思わずギュッと目をつぶった。


でも、唇の真横とか頬にしかキスは落ちてこない。


あれ……？

も、もしかしてわざと唇外してる？


「やよ、くん……？」

「……なに？」


なんともなさそうに、唇以外のところばかりにキスしてくる。


「ぅ……キスばっかり……」

「ゆずのぜんぶ甘いから」


身体の内側が、ちょっと熱くてもどかしい。


それに、埜夜くんの長い脚が、わたしの太もものあたりに入り込んで、ぜったい逃がしてくれないの。


「ね、ゆず気づいてる？」

「な、なに……を？」