冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
唇が触れたまま、ほんの少し口をあけた。
「ん……いい子。そのままもう少しね」
「っ……んん」
冷たい空気が入ってきたのは一瞬。
少し強引にこじあけるように、舌が入り込んできた。
このキスダメなのに……っ。
頭がもっとふわふわして、何も考えられなくなる。
「……きもちいい?」
「ぅ……はぁ……」
「俺の声ちゃんと聞こえてる?」
「甘くて……わかんない……っ」
ずっと唇を塞がれたまま、ついていくだけで精いっぱい。
「ゆず……キスうまくなったね」
「埜夜くんのせい、だよ」
「んじゃ、もっとすごいのしよ」
「ふぇ……っ」
今も甘すぎて余裕ないのに。
すると、少し離れたところから扉が開いた音がした。
えっ、あれ……?
いま何か音した……よね?
「や、埜夜くん。誰か来たんじゃ……」