冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「ねー、加賀美。今日はクレープ食べて帰りたい!」
「なりません。本日このあとおじい様と会食のご予定です」
「懐石料理よりもクレープのほうが美味しいのに! 加賀美は厳しいからやだ~」
話を聞けば、実海ちゃんと加賀美くんは、中等部からずっと一緒みたい。
しかも、びっくりなことに埜夜くんと加賀美くんは幼なじみらしい。
* * *
怒涛の初日が終わり、あっという間に夜。
今日は入学式だけだったから、午後はお屋敷でまったり過ごした。
なんだかいまだに実感ないなぁ……。
「わたしがお嬢様だなんて」
これから後継者にふさわしい人間になるために、学んでいくことだってたくさんある。
今までずっと一般家庭で育ってきて、この世界のことなんか何ひとつ知らない。