冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
視界が涙でいっぱいになって、泣きたくないのに涙の止め方がわからない。
すると、静かに扉がノックされて、部屋に誰か入ってきた。
「……ゆず」
この声を聞いて安心するのはどうして……?
「やよ……くん……?」
後ろからそっと優しく、わたしを抱きしめてくれた。
「……声震えてる。ごめん、ひとりにして」
とっても優しい声のトーンで、わたしを安心させるような温もりで、包み込んでくれる。
「寝る前元気なさそうだったから心配した」
「それで、わざわざ来てくれたの……?」
「ゆずが不安がってるの放っておけないし」
さっきまで胸の中にあった不安が、少し軽くなった気がする。
そばに埜夜くんがいてくれるのに安心したのか、少しずつ眠くなってきた。
「ゆずはひとりじゃない……そばに必ず俺がいる」
出会ったばかりなのに、どうしてここまで想ってくれるの……?
「もっと俺を頼っていいから」
誰かがそばにいるって、それだけでも安心感があって。
埜夜くんのそばにいると心が落ち着くのは、どうしてだろう?