冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情


英華学園に入学して早くも二週間くらい。
この学園の特進科は、普通科目の授業以外にも特殊なカリキュラムがいくつか組まれてい
るとは聞いていたけど。
「実海ちゃんすごすぎるよ……」
「そんなことないよ~! テキトーにパパッとやってるだけ!」
目の前にドーンと置かれている、色鮮やかで美しい花たち。
今は生け花の授業。
「小さい頃、おじいちゃんとよく生け花やってたからかな。まあ、わたしにセンスあるか
わかんないけど!」

さ、さすが庭園デザイナーのおじいちゃんがいるだけのことはある……。
わたしなんて、そもそも生け花の基礎的な部分すら知らないのに。
「柚禾お嬢様のお花も素敵ですよ」
「埜夜くん、お世辞はいいよ」
「お世辞ではございません。これもまた勉強ですね」
特別な授業はこれだけではない。
他にも、バイオリンやピアノから、書道、茶道まで……。
授業内容に早速ついていけそうにない……けど。
これくらいでくじけちゃダメだ。この学園で学ぶって決めたからには頑張らないと。
「えぇっと、次の授業は……」
タブレットで確認すると、英語の授業で教室移動が必要みたい。
普通の英語の授業かと思いきや。
「な、なんで個室? それにこの大きなモニターは?」
すると、いきなり画面に外国の人が映って、こっちに手を振ってる。
< 28 / 242 >

この作品をシェア

pagetop