冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「本日、羽澄創一郎様より柚禾様をお迎えにあがるようにと」
羽澄……創一郎さん?
はじめて聞く名前だ。
「すみません、その方まったく知らないんですけど」
「創一郎様は、柚禾様の血のつながった実のおじい様にあたります」
「わたしのおじいちゃん……ですか?」
「はい。柚哉様のお父様が創一郎様になります」
柚哉様っていうのは、わたしのお父さんの名前だ。
お父さんの両親の話は、小さい頃からあまり聞いたことがない。
実際に会ったことも、話したこともない気がする。
わたしが覚えてないだけかもしれないけど。
「創一郎様が柚禾様にお伝えしたいことがあると」
黒服の人が渡してくれた名刺には、羽澄グループって書いてある。