冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「わたしも家柄がよかったらなぁ! そうしたら、栖雲くんに執事としてそばにいてもらえたかもなのに~!」
「……わたしがお仕えしたいと思うのは柚禾お嬢様だけです」
埜夜くんがちょっと強めに言うと、女の子たちみんな気まずそうに顔を見合わせてる。
でも、わたしが羽澄家の後継者じゃなかったら……埜夜くんは、わたしじゃないお嬢様に仕えていたかもしれない。
そう思うと、少しだけ胸のあたりがモヤモヤする。
まだ出会ったばかりなのに、こんな気持ちになるなんて。
埜夜くんがモテモテだって、別に自分には関係ないのに。
わたしどうしちゃったんだろう……?
「ゆず」
「……はっ、うわっ! 埜夜くん⁉︎」
「どうかした?」
「え、やっ、どうもしないけど! ……ってあれ、女の子たちは?」