冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「迷惑なんて思ってない。ゆずを守るのが俺の使命だから」
そのあとすぐに迎えの車が来て、埜夜くんとお屋敷に帰ってきた。
埜夜くんは、わたしの心配ばかりしてくれるけど、今は埜夜くんのケガの処置のほうが最優先。
救急箱を用意してもらって、わたしがケガの手当てをすることに。
「指のところ血が出てるし、痛いよね。わたしのせいでほんとにごめんなさ――」
「もう謝るの禁止。ゆずが無事ならそれでいい」
「で、でも……」
「ただ、ゆずにはもう少し自覚してほしい」
埜夜くんが真剣な様子で言った。
「ゆずが羽澄家の後継者だって知って、狙ってくるやつもいるかもしれない」
羽澄グループは日本国内で名が知られている。
そのグループの後継者のわたしが狙われることだって、あるかもしれないんだ。