冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
埜夜くんは完璧執事
茶道の授業にて。
「う、あ……足が、痺れて……」
さらに書道の授業。
「ふ、筆を持つなんて小学校以来……」
美術は模写が課題。
「見たまま描くだけなのに、なんでこんな難しいの……」
特殊な授業にいまだ苦戦中のまま、テスト期間へ突入した。
英華学園はテストも変わっていて、普通科目の筆記の他に、茶道や生け花などの実技もある。
実技の中にはなんと着付けまで含まれていて、自分で着物を着られるようにならないといけない。
お屋敷内に和室もあって、着物もあるので日々特訓……なんだけど。
「埜夜くんは着付けできるの?」
「もちろん」
お屋敷の和室にて、埜夜くんに着付けのやり方を教えてもらってる。
わたしなんて着物をはじめて見たくらいなのに。
そもそも着る機会がないし。
「まず俺が着せるから」
きれいな和柄の着物を用意してもらえたけど、ひとりで着るの難しすぎない?
埜夜くんは、何も見ずに手際よく進めてるけど。
着付け初心者のわたしは、何がなんだかよくわからないまま。
「ゆずこっち向いて」
「や、やだ……」
「覚える気ある?」
「あ、ある……けど!」
こんなはだけた状態を見られるの無理……!