冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情


お風呂あがりでボーッとしてたのか、足を滑らせてそのまま埜夜くんの胸の中にダイブ。

よ、よかったぁ……埜夜くんがいてくれて。


「ゆずから抱きついてくるなんて積極的じゃん」

「これは不可抗力だよ!」


「んじゃ、俺が触れるのもあり?」

「だ、だから、埜夜くん近いんだってば!」


愉しそうに笑いながら、わたしの腰のあたりに手を回して離してくれない。


「ってかさ、ゆずのそれ無自覚?」

「何が?」


「その上目遣い。いつも食らう俺の身にもなってほしい」


「えぇっと……」


よくわからなくて首を傾げると、埜夜くんはさらに深いため息をつく。


「はぁ……やっぱそれ狙ってんの?」


おでこがコツンと触れて、ものすごい至近距離で視線が絡んでる。

そらそうとするのを許してくれない。


< 54 / 242 >

この作品をシェア

pagetop