冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「俺にしかやってないよね」
「こ、こんなに近くにいるの埜夜くんだけだよ」
「俺以外の男の前でやったら相手の存在ごと消す」
「それは物騒すぎるよ」
「ってか、ゆずの周りに男がいたら即刻排除する」
「だ、だからぁ、そんな怖いこと言うのダメ!」
唇の前でバッテンを作って、キリッと睨んでみた。
でも、どうやらあんまり効果がなかったようで。
「やっぱゆずはなんもわかってないね」
指を絡めてキュッとつながれて、再び埜夜くんの腕の中へ。
「ゆずは俺のこと無意識に殺しにかかってる?」
「な、なんでそうなるの⁉︎」
「ゆずに触れたいの我慢してんのに……俺の理性試してんだ?」
「そんな抱きしめたらわたしつぶれちゃう……」
「まだそんなこと言ってる余裕あんの?」
危険なささやきが耳元で聞こえたのとほぼ同時。
埜夜くんの大きな手が、わたしの頬に触れたり、指先は唇に触れてきたり。
「ゆずに触れたい衝動抑えてんのに」
お互いの唇が触れるまで、ほんの少し……埜夜くんがピタッと止まった。
「……まだここにはキスしないけど」
「ん……っ」
わたしの唇を指先で軽く押しながら。
「あんま可愛いことばっかしてると俺に奪われるかもよ」
危険で甘く笑ってる埜夜くんに、やっぱりドキドキしちゃう。