冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
何も教えてくれないまま、理事長さんがわたしの背中を押して、学園内のとある一室へ。
中庭を抜けて、さらに奥にある目立たない場所。
こ、ここどこ?
というか、学園内にこんなところあったんだ。
「ここはね、わたしの秘密基地みたいな場所なのよ~」
「ひ、秘密基地?」
「ほら、理事長室ってお堅い雰囲気じゃない? わたしそういうの苦手なのよ」
いやいや、いちおうこの学園の理事長さんなのに?
はじめて会ったときから、楽観的な感じの人だなぁとは思っていたけど。
「ここね、学園内の人間にもほとんど知られていない場所でね。だから、わたしが隠れるときによく使うの」
「か、隠れる?」
「仕事とかに追われるとね、ひとりになりたくなるときがあるのよ~」
な、なるほど。
理事長さんっていろいろ大変なのかな。