冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情


何も教えてくれないまま、理事長さんがわたしの背中を押して、学園内のとある一室へ。


中庭を抜けて、さらに奥にある目立たない場所。


こ、ここどこ?

というか、学園内にこんなところあったんだ。


「ここはね、わたしの秘密基地みたいな場所なのよ~」

「ひ、秘密基地?」


「ほら、理事長室ってお堅い雰囲気じゃない? わたしそういうの苦手なのよ」


いやいや、いちおうこの学園の理事長さんなのに?


はじめて会ったときから、楽観的な感じの人だなぁとは思っていたけど。


「ここね、学園内の人間にもほとんど知られていない場所でね。だから、わたしが隠れるときによく使うの」


「か、隠れる?」


「仕事とかに追われるとね、ひとりになりたくなるときがあるのよ~」


な、なるほど。

理事長さんっていろいろ大変なのかな。



< 58 / 242 >

この作品をシェア

pagetop