冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
――ガチャ。
「え……えぇ⁉︎ 埜夜くん⁉︎」
少し息を切らして、焦った様子の埜夜くんが部屋に入ってきた。
「はぁ……っ、よかった。見つかって」
わたしの姿を見た瞬間、ホッとした表情を見せた。
「ど、どうしてここがわかったの⁉︎」
「俺はゆずの執事なんだから」
「ご、ごめんね。心配かけちゃって。あっ、でも今回のこれには、ちゃんとわけがあって!」
「理事長の仕業?」
「え、なんで知ってるの?」
「理事長の様子おかしかったから。俺を理事長室に呼んでおいて、当の本人はいないし」
このときからすでに、埜夜くんは何か怪しいって気づいていたみたい。
「理事長室に戻ってきたかと思えば、いきなりこれは絆を試す試練だとかわけのわからないこと言ってくるし」
それで埜夜くんがクラスに戻ると、わたしの姿がなくて。