冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
「ゆずはいないし、連絡も取れないし」
「うっ、ごめんね。わたしがスマホ持ち歩いてれば……」
ついこの前、わたしが内緒でひとりで外に出て、危ない目に遭ったばかりなのに。
「ゆずがひとりで抜け出すようなことは、もうさすがにないと思ったし」
学園内の警備はとても優れているから、外部の人間に連れ去られた可能性は低いって考えた結果。
「理事長がなんか仕掛けたんだろうなって。まあ、いちおうあの人も学園の責任者だから、ゆずを危険な目に遭わせることはないと思ったけど」
だいぶ前、学園内で理事長がよく理事長室以外に使ってる部屋があるって会話を聞いたのを思い出したらしく……それでこの場所にたどり着いたみたい。
「や、埜夜くんすごい……」