冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
何気にふたりがこんなふうに話してる姿、はじめて見たかも。
「埜夜こそ、柚禾お嬢様がいちばんって顔に書いてあるけど」
「ゆずは俺の世界でいちばん可愛いから」
「クールで誰にも見向きもしない埜夜を、ここまで夢中にさせるってすごいな」
「ゆずの可愛さ舐めないほうがいいよ」
「はいはい」
ふたりとも、何を話してるんだろう?
すると、埜夜くんがわたしのほうへ来た。
「行きましょうか、柚禾お嬢様」
「執事モードの埜夜くんだ」
わたしの手を引いて、舞踏会のホールへ。
ますます緊張してきた……。
心臓のドキドキは最高潮。
脚も少し震えてるし、緊張と不安でいっぱいだけど……。
「俺に呼吸あわせてくれたら、あとは俺がリードするから」
やっぱり埜夜くんはいつも頼りになる。
……埜夜くんと一緒なら大丈夫って思えるんだ。