冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
* * *
舞踏会の煌びやかな雰囲気に呑まれそうだったけど、埜夜くんのおかげでなんとか踊り切ることができた。
正直うまくできたか自信ないし、踊ってたときのこと全然覚えてない。
でも、無事に終わってすごくホッとしてる。
緊張がほどけたせいか、終わった途端その場に崩れそうに。
「……っと、ゆず大丈夫?」
「うっ、ごめんね。ホッとしたら脚にうまく力が入らなくなって」
今もフラフラで、埜夜くんに支えてもらってる。
「テラスで少し夜風にあたる?」
「……わわっ」
びっくりしてる間に、わたしをお姫様抱っこしてテラスへ。
もう夏だけど、夜はまだ少し涼しいかも。
そばにあったひとり掛けの椅子に、そっとおろしてくれた。