冷酷執事の甘くて危険な溺愛事情
それに、さっきから全然わたしのほうを見てくれない。
ちょっと前まで埜夜くんのこと意識しすぎて空回りしてたのに、今はそれがぜんぶどこかに飛んでいってる。
「埜夜くん?」
「…………」
む、無視……。
こうなったら、埜夜くんの執事として看病頑張るんだから!
執事ってなると……まずは形から入ろう。
お屋敷にいる執事長さんにお願いして、執事服を貸してもらうことに成功。
「わぁ、埜夜くんがいつも着てる服だ!」
これ着てるだけで執事になった気分。
あとは髪を後ろでひとつにまとめて……と。
「うん、これで見た目は完璧だ!」
再び埜夜くんがいる部屋に戻った。
「埜夜くーん」
「……なに。出ていったんじゃないの」
「えっとね、さっき埜夜くんの執事になるって言ったでしょ?」
「いや、それさすがに冗談――は?」