蜜月溺愛心中

「蘭！まさか、こんなところで椿ちゃんに会えるなんて思ってなかったよね」

「うんうん。私たち、この近くの会社で働いてるんだけど、びっくりした」

蘭と菜月がそう話し、椿も「私も驚きました」と言いながら商品を袋に入れていく。二人と話している間、椿の心は水族館での時のようにモヤモヤとすることはなく、むしろ普通に友達と話している時のように穏やかだった。

「ありがとうございました！」

支払いを済ませた二人に商品を渡し、椿は笑顔で頭を下げる。もう少しゆっくり話したいところだが、ここはコンビニの中で仕事中だ。そういうわけにはいかない。

菜月は「また来るね〜！」と笑顔で手を振り、蘭も「お仕事頑張って！」とエールを送ってくれた。椿はそれに嬉しさを感じながら二人を見送る。清貴の友人であり、決して椿の友人というわけではない。しかし、優しくしてくれる二人に椿は好意的な感情を抱いている。

（ゆっくりカフェで女子会とか憧れるな）

ドラマで主人公たちがしていた光景を椿は思い出す。三人でおしゃれなカフェでスイーツを楽しみながら話したら、そう想像するだけで胸が弾んでいく。

（それに、学生時代の清貴さんの話も聞けるかもしれない！）