蜜月溺愛心中

新が驚いた声を上げ、清貴が椿を自身の体で隠すように前に立ちながら、「誰か話したのか？」と言いたげな鋭い目で蘭たちを睨む。蘭たちは清貴の聞きたいことを察したようで、全員顔を強張らせながら首を横に振った。

「も〜、そんな怖い顔しないでよ〜。私だけ除け者にしようとしたことは許してあげるから！」

姫乃は髪をかき上げながらそう言い、近付いて来る。そして清貴の背後にいる椿を見て、見下したよう中に笑みを浮かべた。

「うわ、最悪。青春を共に過ごした仲間たちと遊ぶ場所に部外者がいるんだけど」

椿の胸がナイフで抉られたように痛む。清貴を始め、全員が姫乃を咎める声がしたものの、姫乃の心には一ミリ足りとも響いていないようだ。

「椿、絶対に守るからな」

痛む胸の中、清貴のその言葉だけが椿の心を救っていた。