蜜月溺愛心中
「え〜、コーヒーカップとか子どもの楽しむ乗り物じゃん。それより絶叫系の方が楽しいって!百歩譲ってお化け屋敷よ!……本当に遊園地来たことないわけ?「可哀想な私」ぶってるんじゃないの?」

姫乃の刺々しい言葉が降ってくる。椿は無視しようと思ったものの、やはり心は傷付いてしまうものである。そんな椿の肩を清貴は抱き寄せた。

「ジェットコースターでも、お化け屋敷でも、好きなところに行ってろ。俺は椿とコーヒーカップに乗る」

清貴は姫乃を睨み付ける。菜月たちも呆れた様子で姫乃を見た後、「コーヒーカップに並ぼう!」と言い彼女に背を向けてしまった。姫乃に味方はいない。

「何よ!」

姫乃が追ってくることはなく、椿はホッとして息を吐いてしまった。



「お待たせしました〜!お好きなカップの中にお乗りください」

コーヒーカップの列に並んで数分後、椿たちが乗る番がやってきた。椿はわくわくしながら一歩足を踏み出す。

「椿、どのカップに乗りたい?」

清貴に訊かれ、椿はグルリとコーヒーカップを見つめる。パステルカラーのコーヒーカップはどれも可愛らしく、目移りしてしまう。
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