蜜月溺愛心中

「そこそこ待ちそうだね。みんなワッフル目当てかな？」

「いや、そこそこの話ではなさそうだぞ」

すごい、と目を輝かせる翔太の隣で清貴が少し呆れたように言う。椿は人で混雑しているものの、レストランでみんなで食べる食事を楽しみにしていたのだが、催してきてしまった。

「清貴さん、皆さん、少しお手洗いに行ってきます」

椿はそう声をかけ、レストランの外へと出る。レストランの中にもお手洗いはあったものの、混雑していそうだったため、レストランの外に行くことにした。幸いにも、レストランのすぐ近くにお手洗いがある。

お昼時で多くの人がレストランやチュロスなどを売っている屋台にいるためか、遊園地内のお手洗いは空いていた。

（よかった……。すぐに戻れそう）

そう胸を撫で下ろし、椿は個室へと入る。数分後、椿が手を洗っていると「ちょっと」と低い声が響いた。顔を上げると椿の背後に鬼のような形相をした姫乃が立っているのが鏡に映っており、椿は悲鳴を上げてしまいそうになる。