蜜月溺愛心中

おいしい、そう何度も言いながら笑い合う椿と清貴を、少し離れた席から六つの目が監視するように見ていた。



外食をしてから数日後、椿はいつものように出勤をし、定時を迎えたためバックヤードで着替えを済ませ、店長たちに挨拶をしてコンビニを出る。

「ふぅ……。買い物をして帰らなきゃ」

息を吐いた後、椿は歩き出す。いつもは椿は通勤には自転車を使っている。しかし今日はない。何故ならば二日ほど前に自転車がパンクしていたため、修理に出しているところなのだ。

「今日の特売品は何だったっけ？」

スーパーのチラシをトートバッグの中から椿は取り出す。今日は牛肉とトマトが安いようだ。それを見て今夜の献立を考えていく。

「今夜はハッシュドビーフにしようかな」

副菜にはほうれん草とベーコンのサラダときのこのコンソメスープを作ろう。そう考えながら椿は歩いていた。

（清貴さん、今日も「おいしい」って言ってくれるかな）