蜜月溺愛心中
幸せそうにそう言う百合枝に対し、「そう思いますよね!?」と蘭がニヤニヤしながら言う。椿は清貴に言われた時のことを想像しただけで、顔から火が出てしまいそうだった。

一年前に椿と清貴が婚姻届を提出した今日、百合枝の体調も回復したため、二人は結婚式を挙げることにした。とは言っても、参列者は百合枝と清貴の友人たちのみの小さな式である。

「実は、清貴さんにはまだドレス姿見せてないんです。おかしくないでしょうか?」

椿は不安になり、三人に訊ねる。結婚式の準備は二人で進めていたものの、椿のドレスを選ぶ日に清貴に仕事が入ってしまい、椿はプランナーと相談しながら選んだのである。不安げにドレスの裾を掴む椿に、百合枝が微笑みかけた。

「花嫁さんがそんな顔をしてはいけませんよ。椿さんはとっても綺麗。清貴も惚れ直すわ」

「そ、そうでしょうか……」

百合枝の言葉に椿の不安が少し和らぐ。刹那、控え室のドアがノックされた。

「椿。入ってもいいか?」
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