蜜月溺愛心中

そう声をかけたのは清貴だった。菜月が「ファーストルックね！」と興奮気味に言う中、椿は「はい」と返事をする。ドアを開けた清貴も花婿のタキシードに着替えており、髪もセットされている。いつもとは違う装いに、椿の胸が高鳴った。

「あっ……」

互いに顔を赤くしながら固まる。そんな中、清貴の背後から翔太と新と仁が顔を見せた。仁が「清貴。ちゃんと言うべきことは言わないといけないよ」と清貴に囁いた。

「あ、ああ。わかってる」

清貴が顔を真っ赤にしながら言うと、プランナーが姿を見せ「参列者の皆様、そろそろチャペルの方へ移動をお願いします」と声をかけた。控え室にいた百合枝たちは「じゃあチャペルで」と二人に言い、出て行ってしまう。部屋に残された二人の間には、少しの間沈黙が訪れた。

「……清貴さん、とってもかっこいいです。似合っています」

椿がそう口にすると、「俺が先に言うべきだったな。すまない」と謝られてしまう。清貴は椿のベールを下ろしながら言った。