蜜月溺愛心中
デートしましょう
あのプロポーズから数日後、ようやく退院の許可が降りた椿は、清貴と共に病院を出る。椿の数少ない荷物は清貴が持っており、椿は緊張を覚えながら隣を歩いていた。
「あの、先生……」
そう椿が声をかけると、清貴はすぐに「先生はやめてください。僕たちはもう夫婦なんですよ」と言う。その言葉に、椿の頭の中はあの日の出来事でいっぱいになっていった。
あのプロポーズの後、清貴は何故結婚する必要があるのか説明してくれた。清貴は二十八歳。柊総合病院の跡取りとして早く身を固めろと両親から強く言われているそうだ。
「両親の言葉だけなら、適当に流せていたんですけどね……。祖母にも「お嫁さんを見たい」と言われるようになってしまいまして……」
両親の話をしている時の清貴はどこか険しい表情を浮かべていたものの、祖母のことを口にした瞬間、その顔は優しいものに戻った。
「父は医者なので多忙な生活で、ほとんど家に帰って来ることはありませんでした。お金が目当てで父と結婚した母は、僕のことは放ったらかしで毎日のように仲のいい人たちと遊んでいました。僕は、両親から「息子」ではなく「病院の跡取り」としか見てもらえなかったんです」
「あの、先生……」
そう椿が声をかけると、清貴はすぐに「先生はやめてください。僕たちはもう夫婦なんですよ」と言う。その言葉に、椿の頭の中はあの日の出来事でいっぱいになっていった。
あのプロポーズの後、清貴は何故結婚する必要があるのか説明してくれた。清貴は二十八歳。柊総合病院の跡取りとして早く身を固めろと両親から強く言われているそうだ。
「両親の言葉だけなら、適当に流せていたんですけどね……。祖母にも「お嫁さんを見たい」と言われるようになってしまいまして……」
両親の話をしている時の清貴はどこか険しい表情を浮かべていたものの、祖母のことを口にした瞬間、その顔は優しいものに戻った。
「父は医者なので多忙な生活で、ほとんど家に帰って来ることはありませんでした。お金が目当てで父と結婚した母は、僕のことは放ったらかしで毎日のように仲のいい人たちと遊んでいました。僕は、両親から「息子」ではなく「病院の跡取り」としか見てもらえなかったんです」