蜜月溺愛心中
「いらっしゃいませ〜!」

可愛らしいおしゃれなワンピースを着た美容師が椿を出迎え、椅子へと案内する。初めてのことに椿は緊張と戸惑いを感じつつも、美容師の「どのような感じにしますか?」という質問に答え、伸び放題の椿の髪にハサミが入れられていく。

二時間後、鏡を見た椿は驚いてしまった。鏡に映る自分が別人に見え、「誰?」と言いたくなってしまう。

伸び放題で腰の近くまであった髪は、鎖骨の辺りまで切ってもらい、可愛らしいミディアムボブになった。長めだった前髪も切ってもらったため、視界が一気に広くなる。

(何だか、世界が明るく見える……)

不思議な気持ちを覚えながら、椿は清貴の元へと向かった。椿を見た清貴は一瞬目を見開き、そして「よく似合ってる」と微笑む。

「髪、こんなに切ったの初めてです」

「椿は長い髪も素敵だが、短い方が似合っている気がするな」

初めて可愛らしい髪型にしたことに、椿の胸の鼓動が早くなっていく。そして、自分が今喜んでいるのだと椿は知った。

「さあ、次は服を見に行こうか」
< 28 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop